ラフにタフに

横山賢(3年/GK/渋川)

何を書くか決めないまま、iPhoneのメモアプリを開く。

白い画面は静かで、少しだけ冷たい。

今日は4月15日。
締切までは、まだ2週間ある。
夏休みの宿題ですら、こんなに早く手をつけたことはない。

理由は単純だ。
大沢のブログが上がったからだ。

大沢の存在は、我々3年目の中ではかなり大きいものだと思う。
言葉にしなくても、どこかで皆、同じような虚しさを抱えている気がする。
旧帝戦のあと、ひなたが泣いていた光景がふと思い浮かび、「こいつまじか」と思ったことを思い出す。

最近のキーパー練習は、こうせいとそうの2人の180cmオーバーのレフティーの加入により少しだけ賑やかになったし、人を見上げる回数が増えた。
それでも、埋まらない隙間みたいなものが、確かに残っている。

これ以上書くと、大沢が調子に乗る顔が目に浮かぶのでやめておく。早く札幌に帰ってこい。

さて、本題に入ろうとして、手が止まる。

気づけばもう翌日である。描き始めこそ早かったものの、特に書くことも思いつかなかったため後回しにした結果、24時間あまりが経過してしまった。

何を書けばいいのか、やはりよく分からない。
あゆむみたいにキレたら怖いキャラをアピールしてもいいし、YMDのように変な小説を書いたっていい。去年のかなとくんの宗教勧誘は記憶に新しいし、鶴兄やひろきくんの超大作は見事なまでに内容は1ミリも覚えていない。色々考えた結果、バルサのサッカーを語るだけのようなブログではやはりつまらないので、自分のサッカーに対する思いについて語ることにした。

サッカーについて思うことは、確かにある。
けれど、それを言葉にしようとすると、霧の中の何かを、掴もうとしているみたいで、輪郭がぼやけてしまう。

今はただ、昨日の練習で中尾優太のシュートが顔面を強襲し、切れた唇からの出血に腹が立って頭がいっぱいである。

あんな距離で、あんな強さで打つなよ。
そんな文句は、胸の内にだけしまっておくことにする。

サッカーをしていれば、酸いも甘いもある。
この唇の痛みは、きっと「酸い」の方だ。

そして「甘い」は、驚くほど一瞬で終わる。
上手くいかない時間の方が、ずっと長い。

だから時々、ふと考える。

どうして自分は、サッカーをしているのだろうか。

学生リーグの開幕の日、自分は21歳になる。
少しずつ、大人の側へ押し出されている感覚がある。
学生でいられる時間は、思っているよりもずっと短い。

成人式で再会した地元の友人たちは、
それぞれに「大学生らしい生活」を楽しんでいた。
その姿が、少しだけ羨ましかった。

旅行にも行きたい。
バイトももっとしたい。
何もせず時間を溶かす日も、きっと悪くない。

やりたいことは、いくらでもある。

それでも自分はほとんどの時間を部活に費やしている。
それでいいのか、と何度も考えた。
答えは出ないまま、2年が過ぎた。

今でも、はっきりとした答えはない。

ただ、

もし部活を辞めて、もっと自由な大学生活を送っていたとしても、今みたいに心から何かを楽しめていたのかと考えると、それは少し分からない。

思い出すだけでニヤけてしまう旅行も、ただ楽しかっただけではなくて、あの苦しい時間の延長線上にあったのではないかと思う。

上手くいかない日々の中で、考えて、迷って、もがいていた時間があったからこそ、あの瞬間は輝いて見えたのではないかと。

そう考えると、少しだけ腑に落ちる。

多分、俺はサッカーが好きなわけじゃない。

ただ好きな要素がたまたまサッカーにあっただけだと思う。

チームで守る感覚。
セービングの瞬間、時間が止まったように感じるあの一瞬。頭の中で描いた軌道を、ボールがなぞる瞬間。

勝ったあと、みんなで笑う時間。
試合後、眠気に負けそうになりながら食べるご飯。
チームメイトとのどうでもいい会話。

その全部が大好きだ。

だから、残り2年

最高のチームメイトと、アチアチな日々を過ごしたい。

ボロボロで、すぐに壊れてしまうこの身体へ。
あと少しだけ、一緒に頑張りましょう。

みんなのように、サッカーが大好きで、真っ直ぐな気持ちでサッカーをしている訳では無いです。
練習中にだって愚痴とか弱音は普通にこぼします。
でも手は抜きません。
あゆむの言葉を借りると、僕はそういうやつなんです。

──今日はもう眠い。

かずまが勧めていたホットアイマスクを思い出した。

それを手に取ってベットに体を預ける。

明日は金曜日、授業は三限から

しかしもうすぐ週に2日4時起きの生活のスタートである

冷静に考えて4時起きってやばいな

そんなことを考えつつアラームをかけずに眠りにつく

今日は熟睡できそうだなあ

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