最後の朝練の日。涙があまりでない飽和した悲しみにともなう、やわらかな眠気をそっとひきずっていて、しんと光る横山家の台所にふとんをひく。そこでは終日作動している換気扇の鈍いゴーという音が鳴り続けいている。頭のすぐ上には琥伯の足。あまりきれいではないけれど、なじみの足だ。そこでは、安らかで短い夜が行き朝が来てくれる。ただ、欲を言えば朝の光で目覚めたかった。それ以外のことは淡々と過ぎていった。
最後のグラウンド練習の日。見慣れたグラウンドに沈みきった夕日、泥だらけのスパイクとグローブ。抜けきった体からふぅっと白い息が漏れ出した。枯れた木の葉と牧場のにおいが風と共に舞う、秋の肌寒い日。燦燦と照り付ける太陽のもと土埃にまみれ、皆がボールを追いかける姿は今では懐かしく思われる。
最後の屋内練習の日。私にとって本当に最後の練習の日。みんなにとっては、4年間のうちおそらく何度でも来るであろうありふれた普通の練習の日。いつも通りパスから始まるアップをしている。相変わらず下田の配球は強いし、玲太は大声を出す。天斗は数か月前から待ちわびた私の最後の練習を喜んでいるのだろう誠に奇妙な、どこかけがらわしく、へんに人をむかむかさせる表情をしている。いつもと違うことといえば、タケイチがいたことくらいだ。
昨シーズンは、サッカーに関して特にこれといった目標もなく幕を開けた。1年生の時とほとんど同じような1年間だった。練習を頑張らなくてはいけないのに、けがをしては試合に出られずほとんどそのままシーズン終盤を迎えてしまった。サッカーだけを見るのであれば到底、満足した、やり切った、とはどうしても言えない。
だからサッカーは置いておいて、今までの二年間何をしたのか一旦全部思い出してみる。人工芝プロジェクト、リクルート、企画、新歓、焼きそば出店、PK大会、五大戦・七大戦運営、ユニフォームデザイン、SSP、学科代表。
もう少しやってる気もするけどこうやって書いてみると意外と多い。今手元にあるスマートフォンを見返してみてもカレンダーは混沌としている。
私は水産学部という、2年間しか札幌にいられない特殊な学部を選んだ。この短い時間で自分は何ができるのか。自分の性格的には、部に関する仕事はあんまりしたくなくて常に末端の末端でありたかった。だけど、身近に学連やら総務やら用具係で忙しそうな演技をしている同期を見て私も真似したくなった。部の業務にサッカーの上手い下手は無関係だ。年齢もさして関係はない。もっと我を出して、楽しいこと見つけてこれから皆は色々頑張ってほしい。
ただ、2年間しか居られない私は責任のある仕事ができなかった。その分、手の届く範囲ならすべての行事に爪痕を残してやろうと手を伸ばし首を突っ込んだ。昨年のブログでも書いたように面倒なことはとても嫌いだが、新しいことを始めて忙しくなるのは心地いい。On The Pitchでは泥とゴムチップにまみれ、Off The Pitchではタスクの波に飲まれ自分のキャパの縁を綱渡りするような、そんな激動の日々を過ごした。
今は、そんな生活から一変しスローライフを送っている。月曜と木曜に7:00からサッカーの朝練をし同日の夜はバレー、土曜日は練習試合か体育館でサッカーとバレーをやっている。実験もほとんどないし今はバイトもしていない。こんな日常も悪くはない。慣れない一人暮らしも。
大学でも週5でサッカーやっていると言うと周りからはいろいろ言われるし、大変だと思う。やりたいこと、勉強を選び休部・引退し、様々なことに挑戦する賢い私たちに対し、皆は自分はこのままサッカーをやっているだけでいいのかという焦りも感じると思うが、それでもサッカーをすることを選んだからには結果に拘ってほしい。
総理大臣杯で対戦することを願って。
最後に同期へ
みんなのおかげで部活以外が楽しくなりました。本当にありがとう。
今日13時ごろにブログ催促のLINEが来て焦って書いたのでみんなに一言書けませんでした。完全に忘れていました。ごめんなさい。全員登場させようとしたけど語彙力が足りませんでした。札幌に帰ったら絶対年目会しましょう。そのときに色々語り合いましょう。
#1 大沢勇翔

