飯田蒼矢(4年/DF/北見北斗高校)
引退してから、早くも1ヶ月が経った。
最近は卒論と2回目の院試の勉強と推し活に追われて、なんだかんだバタバタしている。
でも、正直どこか物足りない。あの日々のような、心臓が張り裂けそうな緊張感や、泥臭く身体をぶつけ合う熱量がない毎日は、平和すぎて逆に落ち着かないのが本音。
1,2年目の時はカテゴリーが下だったり、怪我でプレーができない時間が長くあったりして、楽しかったけど悔しさの方が多かったと思う。
3年目になってもサテライトでベンチだったりスタメンだったり、立ち位置が定まらないままの時間が続いた。でも、たまたま巡ってきた学生リーグのスタメン。あの日は震えるほど緊張していたけど、今の全てを出す覚悟でピッチに立った。手応えはあったけど、まだまだ足りない部分も多くて、次の試合でベンチ外になった時は本当に悔しかった。
そこからもっと成長しないといけないって気持ちで毎日サッカーと向き合った。
4年目は最後まで全力で戦うと決め、シーズンをスタートした。前期は全試合ベンチで、不安に押しつぶされそうになったが、シャトーブラン19で円陣を組んだことを思い出すと頑張れた。
そしてチャンスは突然訪れた。総理大臣杯準決勝、全国出場もかかる大一番でスタメン出場が決まったのだ。ピッチに立った瞬間、緊張は力に変わった。仲間の声援、観客の熱気が背中を押し、思い切ってプレーできた。あの試合では、自分史上最高のパフォーマンスを発揮し、全力で戦い抜くことができた。でも、結果は敗退。
全力を出し切った充実感の裏で、強烈な思いが込み上げてきた。負けたことが悔しくて、でもそれ以上に、引退までの残り少ない時間、もっと頑張ろうと心から思えた。この敗戦が、僕の心に最後の火をつけてくれた。
引退試合前には膝を怪我し、5分限定での出場を告げられたが、最後の瞬間まで戦いたくて、少しだけ嘘をつきスタメンとしてピッチに立たせてもらった。痛みを抱えながらも、同期のみんなと一緒にプレーする喜びを全身で感じ、自分の全力をぶつけた。試合は引き分け。でも、仲間と全力で戦ったあの時間は本当に楽しく、心の底から笑顔になれた。間違いなくサッカー人生16年間で一番楽しかった試合だった。ピッチを後にする時、4年間のすべてが報われた気持ちで胸がいっぱいになった。
本気でサッカーをやることは、もうないのかもしれない。朝4時半に起きて練習して、勝つためだけに生活を削って、結果に一喜一憂して。そんなサッカーはここで一区切り。
でも、だからといってサッカーが終わったわけじゃない。この4年間でサッカーってやっぱ最高だなって心の底から思えたから、またどこかのピッチに立ちたい気持ちもある。勝つために人生を懸けるサッカーとは違っても、サッカーを純粋に楽しむ時間をこれからも作っていけたらいいなって思う。
後輩へ
4年間はあっという間だから、全力でサッカーして欲しい。まだ試合出たことない子も、筋トレとかランとか基礎練とかちゃんとやれば出れると思うから頑張って。来年は萌カーで応援行くから楽しみにしてるね。M会の方々は定期的に会いたいと思ってるし、下國はあと6,7回ご飯行かなきゃいけないからよろしく。
岡田さんへ
3年目の時に、吉田くんを完封した練習の映像を見て評価してくださったこと、今でも鮮明に覚えています。あれで評価が結構上がったし、自分のプレーに自信を持つきっかけになりました。
そして、左サイドで起用してくださったことも感謝しています。正直、最初は慣れなくて嫌でした。でも任せてもらった以上、応えたいと思って必死に取り組んだ結果、後期の北翔戦では自分でも納得できるプレーに近づけた気がします。ありがとうございました。
高橋さんへ
学生リーグのベンチが多かったので、アップで死ぬほど走ったのは良い思い出です。あのアップのおかげで途中出場でもうまく試合に入れたと思います。
あと、細かい怪我が多くて、そのたびにテーピングを巻いてもらったり、ケアしてもらったり、いつも丁寧に向き合ってくれたことにすごく救われていました。最終戦の前に怪我をしてしまったときも、焦っていた自分に寄り添うように対応してくれて、あのときの安心感は今でも覚えています。ありがとうございました。
同期へ
4年間本当にお世話になりました。振り返ると練習のキツさより練習後のご飯、年目会、オフの日の時間ばかり思い出します。腐りかけていた時も、怪我で凹んでいた時も、みんながいたから明日もグラウンド行くかと思えた。最後まで辞めずにこれたのは、間違いなくみんながいたからだと思う。引退しても関係は変わらないと思うけど、とりあえず一区切り。最高の4年間をありがとう。これからもよろしく。
#35 飯田蒼矢
