松阪叶翔(3年/MF/東急Sレイエス U-18)
最近、就活の一環で「自分史」について考える時間があった。
自分史とは、文字通り自分の人生を時系列順に整理してまとめたもので、ここから自分の価値観や長所・短所を見出し、今後のエントリーシート作成や面接対策へとつなげていく、就活では定石といえる施策らしい。
時系列順に出来事を羅列していくだけの簡単な作業なので、内心「こんなもんで自分の価値観なんて分かってたまるか」と思っていたが、やってみると想像以上に自己理解が深まり、今までぼんやりしていた自分の内面がはっきりしてきた。
振り返ってみると、僕の人生は「絶対にやらない」と思っていたものに限って、ことごとくやっているような気がする。
「大学入って髪染めたり、パーマあてたりするのってダセーよな」
「わかる、しかも茶髪に染めるのが一番ダサい。大学デビュー感丸出しだよな。」
「中身が伴ってないのに、染めただけでおしゃれになったとか、垢抜けたとか思ってるのが恥ずい、恥ず過ぎる」
高校時代、友だちとそんな散々なことを話していた今の僕の髪は茶色いし、ちょっと前までパーマもあててた。
まあ正論なんて所詮正しいだけで、僕には全く効きません。
どうやら、昔から人と違うことが一番だと思っている節がある。多分自分の中で、それが特別なことで、自分の価値を感じられる数少ない瞬間なのだと思う。だから当然世の中の流行りになんて乗らないし、知ってても知らないふりをしていた。
だから、周りが空前のプレミアリーグブームで、マンCとリヴァプールの熾烈な優勝レースにくぎ付けになっている中、僕は元々好きだったリーガとかセリエAの試合しか見なかったし、友だちがプレミアリーグの話を始めたらスーッとどこかへ消えていた。
ブームでいうと、ここ何年かで男性の脱毛も割とスタンダードになりつつあるみたいだ。
それに対し、高校時代の僕は、お得意の逆張り精神から「脱毛?そんな女々しいもんやるわけないですねぇ。確かに、周りには腕とかすねがツルツルのやつもいますけど。(笑)すね毛なんて濃ければ濃いほど男らしいんだから。男のプライド捨ててるようなもんですよ、ホントに。ガハハッ!」
かなりのちくちく言葉。でも、すねがちくちくするのだけは絶対に許さない。今日も早く帰ってすねの毛を剃りたくてうずうずしている。男のプライドとかいう何の役にも立たないゴミは、とっくに月曜日の燃えるゴミの日に捨てたのだ。
「やるな」と言われたらやりたくなるのが人間の性。
自己分析を終え、複雑怪奇だと思っていた自分の価値観とか信念みたいなものは、想像よりもはるかに単純で、薄っぺらいものだったらしい。
ちなみに、今一番やらないと思っているのは宗教。
でも近い未来、「あなたは今幸せですか?」と、インターホンのモニター越しに皆さんとお会いすることになるかもしれません。
#17 松阪叶翔