一歩ずつ、前へ

鈴木歩(2年/宇都宮高校)

北海道大学に入学してからの1年間、サッカーと真剣に向き合い続けてきた。ただ、順風満帆だったかといえば、そうではなかった。思うような手応えはつかめず、結果も残せないまま、時間だけが過ぎていくような感覚があった。

もちろん、サッカーは楽しい。でも、同時に少ししんどい。周さんや陽平に何もできずに抑えられ、玲太や紘洋さんに華麗にかわされる。トップのDFのように鋭いパスは出せないし、余裕がなくて周囲に声もかけられない。試合に出られない悔しさ、上手くいかないもどかしさ、自分のプレーに納得できない感じ。その全部がたまに押し寄せてくる。

北大サッカー部の選手たちは、本当に上手だ。技術も判断力も高く、その中でプレーするたびに、自分の未熟さを突きつけられる。足りないのは技術だけじゃない。メンタルの弱さも痛感した。

印象に残っているのが、アイリーグの岩教戦。前半で2失点し、その瞬間、心のどこかで試合を諦めてしまった。「1点ならまだ追いつける」と思っていたのに、2点差になった途端、「もう無理だ」と感じてしまった。相手は岩教。勝てるイメージはまったく湧かなかった。しかも、自分がほとんど出ていなかった開幕からの2試合ではチームは勝っていた。自分が出たこの試合で負けるのか、そんな思いが頭をよぎった。

後半に入っても0-2のまま時間は進んだ。支配率も相手の方が上。何もできないまま終わる気がしていた。だけど、自分の気持ちに反して2点を取り返し、同点に追いついた。結局、勝利には届かなかったが、心から嬉しかった。自分はDFとして失点に絡んでしまったし、反省点は多い。でも、諦めずに戦い続けた仲間たちのおかげで勝ち点をつかみ取れたことは、何よりの収穫だった。あのとき、自分は追いつけないと思ったことを反省しなければならないと思った。

道都戦では出場時間が少なかったが、続く札大戦ではGK大沢のビッグセーブ、そして4年目の執念のおかげでクリーンシートだった。自分的には4年目に助けられた試合だった。仲間のミスを全力でカバーしたり、途中から出場してチームを盛り上げていた。自分はチームをこんな風に助けることはできないけど、いつかなるべき姿だと思った。

2年目のシーズンが始まった。どのカテゴリーで、どのポジションでプレーできるのかはまだわからない。でも、この1年を無駄だったと思いたくない。焦らず、腐らず、今の自分にできることをひとつずつ、丁寧に積み重ねていきたい。すぐに結果は出ないかもしれない。それでも、自分の歩幅で進んでいく。その姿勢こそが、いつか自分の「強さ」になると信じている。

#25 鈴木歩

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