設楽純一(3年/DF/前橋高校)
私は恵まれている人間だと常々思う。勉強において困ったことはどうやって机に向かおうかということだけだったが、その勢いでついに北大に入学できてしまった。スポーツは苦手なものばかりだったが走ることだけは得意だったから何をしても楽しくはあったし、成り行きで入った駅伝部では関東大会にも出場した。両親にはとても大事に育てられたと思う。色々なことを教えてくれたし、反抗期には暴れに暴れたけど、根気強く向き合ってくれたお陰でなんとか一人前になれた。そんな姿を見ていた妹も、一緒にゲームで騒ぎ倒すくらい仲良くしてくれる。生まれてこの方人見知りは治ったことがないが友人のいない寂しさを憂いたこともない。
サッカーでも私は恵まれてきた。別段深く悩むでもなく入団を決めた少年団は同級生の半分が県トレで、中には関東トレセンやナショトレの選手もいた。指導者の方々は5年生からの入団だった私を見違えるかのように上達させてくれた。中学、高校では部活動の道を選んだが、多くのコーチや顧問に様々なことを教えてもらった。だが、今の私は平凡どころか周りよりも数段劣った選手に成り下がっている。
手を抜いていたわけではないと思う。サッカーを始めてから、生活の中心はずっとサッカーだったし、練習や試合でも常に全力を出してきた自負がある。だから、高校生になってしばらくしてから自分には才能が無いんだと諦観のようなものを持ち始めてしまった。どれだけ努力しても自分は大した選手にはなれない、そう思ってしまった。
そう感じてから5年程経った今、私は着実に成長を感じている。それは北大サッカー部、特に同期のお陰で間違いない。このチームに所属してから、各部員の発信力に驚かされ続けている。それぞれが考えているプレー、戦術、はたまたサッカーへの取り組み方など様々な思いをチーム全体に共有してくれる。全て学生主体という体制が最も良く作用しているチームだと思う。私が成長できたのは、皆の考えを学ぶことができたからというよりこの姿勢を真似ることができたから、つまり発信力をつけたからであると考えている。今までの私はその点において全く真逆の人間だった。自分の考えは主張せずチームメイトの主張を聞くだけであった。しかし自分の考えが無いわけではなかったため、なかなか言われたことを飲み込む事ができなかった。それでは上手くなれるわけが無い。北大で皆の意見を聞きつつ自分の考えも主張し、話し合うことができるようになった。これが成長できた一番の要因だと思う。特に同期は一番近いチームメイトだからこそ色々言ってくれるし聞いてくれる。細かいことから大きなことまで、私が新たに始めよう、意識しようと決めることは思い返せばほぼ同期がきっかけだ。
今シーズン、来シーズンとあと2年しかない。このチームに恩を返すためにはまだまだ実力が足りない。もっと、もっと這い上がらねば。
#4 設楽純一