午後23時の会話

岩満章仁(2年/FW/奈良学園登美ヶ丘高校)

2024年4月13日(土)23時00分

ガチャ、キー

「やっと着いた…。今日もバイト疲れた。ご飯は外で食べたからお腹はいっぱいやし、酒でも飲んで寝るか。」
「その前にベランダで一服っと。」

ガラガラガラ

カチカチ、ボゥ

スー…フー…

ピコン

「ん?先輩からLINEや。」

先輩(今暇?) 
             (暇ですよ)岩満章仁

プルル、プルル

ポチ

「先輩どしたんすか?」
「え、今からクラブすか?」
「明日、勉強せんと流石に留年しそうなんすよねー
最近二日酔いもすごくて、流石にしんどいですよー」
「奢りでも、流石に今からは…」
「え、女の子も何人か来るんすか。んー、行っちゃいますか!
今から準備するんで待っててください!」

ポチ

プープープー

スー…フー…

「行くか…」



俺は、高校で真面目な生徒ではなかった。
先生に怒られることも多かった。
共通テスト本番の会場で、トランプを持っていき大富豪をしたり、共通テスト1ヶ月前頃に、19時頃から1時間30分程、寒い中、友達と夜の公園で蛇口の水をかけあっているところを他校の受験生らしき人に冷ややかな目で見られていたりした。

幼い男の「子」であった。

それでも、中高一貫の学校に通っており、大学受験は意識させられていたので、自分の大学生像などは一丁前に想像していた。
〜大学、〜学部に入学して、〜サークルに入って、毎日のようにお酒を飲んで、1限は二日酔いで行けずに…

まさに最初の文章。これが俺の進むべき道だと思っていた。これが大学生だと思っていた。

地元に戻るとほとんどみんなこんな感じで、楽しそうにお酒を飲んでいる友達に一緒に飲もうと誘われても、部活を理由に断っていた。
久しぶりに会った友達と近況報告をする機会があり、朝練などサッカー部について話すと、皆口を揃えて「大変やな」、「大学入ってよう部活やるな」と言う。

いつしか高校の友達から「真面目なやつ」と思われるようになっていた。

俺もほんとは、そっち側だったのにな…。

彼らの話を聞くたびに思う。1日だけでいいから彼らの生活を味わってみたいと。
今の自分とは対極にいる彼らに憧れることもある。

それでも、自分の居場所をサッカー部にした。

俺は、そんな自分を変えたかった。
だらしない生活を送り、大学生活をただボーッと過ごしたくはなかった。

そのような生活が悪いわけではない。

でも、自分が成長するために、「男の子」から「男」になるために、何かを全力で取り組みたかった。

大富豪にも使われる『革命』。

最強の2が最弱に、最弱の3が最強になる。

今まで、不真面目だった俺が真面目になる。

思い描いていた大学生活とは、真逆の生活を送る。

「男の子」から、「男」になる。

自分自身に『革命』を起こしたかった。



   2024年4月13日(土)23時00分

ガチャ、キー

「今日も部活とバイト疲れた。ちょっとベランダで夜風にでもあたるか。」

ガラガラガラ

ヒュー、ヒュー

ピコン

「ん?先輩からLINEや。」

       説田組(グループLINE)
Shu.setsuda(明日の練習前筋トレ
       行きましょう。)

Keiju (行きます。)
 
       (行っちゃいますか!笑)岩満章仁

プルル、プルル

ポチ

「かなと、どしたん?」
「明日、朝から図書館で勉強?」
「ありやな。笑
じゃあ、9時に駐輪場で。」
「また明日。おやすみ。」

ポチ

プープープー

「寝るか。」

「真面目な生活も悪くないな。
こいつらとなら『革命』起こせるかもな。」

    今夜は革命を起こす幕開けの夜

『最後に』
けいじゅ、2年間ありがとう。楽しかった。
函館行っても、元気でな。また会いに行くわ。

#58 岩満章仁

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次