「サッカーを楽しんでください」

みなさんこんにちは。北海道大学体育会サッカー部新4年目の大嶽です。久しぶりのブログということで、全国に散っていったDAKE FAN CLUBのために近況報告をしておきます。

 学校の方は殆ど単位を取り終わり、春休みを迎えたので、サッカーに費やせる時間が増えて舞い上がりたい気持ちを抑えるほどです。そうはいっても大学生。お金はないが時間はある生き物です。最近は村上春樹の「1973年のピンボール」夏目漱石の「こころ」を読み耽っています。流石文学部と言ったところですね。

 映画鑑賞にもハマっています。直近はリドリースコットの「ハウスオブグッチ」マーティンスコセッシの「タクシードライバー」と、まあ名作を浴びるような生活をしています。

 さてそろそろサッカーの話題に参りましょう。今シーズンはいよいよ選手としてのラストシーズンになります。先ずは副将として井田を支えながら、チーム全体に目配せすることも忘れずにいたいです。思い残すことのないようにと陳腐な言葉を並べるつもりはありませんが、1日ずつ大切に過ごしていきたいです。

 今シーズンは2年越しの1部復帰となりましたが、チームの目標は残留なのか、もっと高いところを目指すのかで大分議論しました。あるところには落ち着きましたが、個人的には「目の前の試合に最大限の準備をして臨み、納得して終了の笛を聴けるように勝ちに行く」としておきます。この目標は口に出すのは簡単ですが、実際相当難しいと思います。どんな結果でも納得するのは試合までの準備のプロセスと試合中のパフォーマンスの両方の意味で納得するわけですから、非常に大変なことであります。フットボールは他のスポーツに比べて不確定要素が多数を占めています。その中で如何に確実な要素を増やし続けていくのか、それこそが我々が練習をする意味ではないでしょうか。そんな事を思いながら日々シュートを受けたり、喧しい指示を飛ばしたりしています。

 さて自分自身にフォーカスした目標を述べますと、「キーパーで勝ったと言われる試合をすること」であります。自分はここ2年間大変難儀な仕事を請け負っておりました。と言いますのも、殆ど仕事をせずに終わる試合が沢山あったのです。滅多にボールが来ない中でたった一本のミスで失点に直結する繊細さと自分がプレーに関与しないところで如何にチーム全体のクオリティを上げるかという黒子のような役目に徹しました。しかしGKというのは実に残酷なポジションです。小樽商科大学との試合で、初失点を喫した上に2失点目まで取られる始末。失点した時ほど注目されるのがキーパーの性です。(と同時にGKほど素早らしいポジションが他にないことも付け加えておきます。)だからこそ今シーズンこそ「ダケが居てくれたから勝てた」と言われるような試合をしたいものです。

 ここまで百足のように徒らに読みにくい文章を披露してしまった訳ですが、兎にも角にも普段応援して頂いている皆様や共に練習する仲間に利子を付けてその想いを返せるように残り9ヶ月近く真摯にフットボールに向き合っていきます。

 最後にここまでの自分の表明を彩る言葉で締めくくりたいと思います。先日高校サッカー選手権で青森山田高校が優勝し、三冠を果たしました。キャプテンの松木選手がインタビューで「全国の子どもたちにどんな言葉を掛けますか?」と問われ、あの夏空の水平線のように爽やかな顔でこう言いました。

「サッカーを楽しんでください」と。

 2年間選手権優勝から遠ざかり、日本で1番期待を集め、想像を絶するほどのプレッシャーの中で戦い続けた高校生の台詞が正に其れだったのです。この言葉が縦60センチ横90センチのディスプレイから自分の耳元まで飛んできた訳ですが、軽やかなリズムの裏に果てしない荘厳さを覚えました。

 この言葉の受け取り方は千差万別ですが、今一度シーズンを戦う仲間たちに投げかけようと思います。

「サッカーを楽しんでください」

#17 大嶽航希

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