中原流星(2年/DF/札幌東高校)
目が覚め、和室に整然と並ぶ植物に丁寧に水をやる。作業着に着替え、まだ少し暗い空を眺めて深呼吸する。いつも同じカフェオレを買い、70年代の曲を流し仕事場まで向かう。仕事をこの上なく丁寧にこなして、とある公園のベンチで休憩し、風に揺れる木を眺めて写真に残す。仕事が終わり、銭湯に行き、居酒屋で少し飲む。家に帰るとウトウトするまで小説を読み寝る。そしてまた日の出とともに目覚める。
平山という男のこんな1日がただ繰り返される映画が「PERFECT DAYS」である。
僕は基本映画を見てもなんかよくわかんなかったなとしか思えない。あんだけ流行った国宝も「いやぁ国宝は感動したね」とか言ってたけど実際はなんか凄かったなくらいにしか思ってない。最近周りに合わせて適当に話してしまう性格がバレ始めていてまずい。
この映画はそんな僕にも「ちゃんと考えたい」と思わせてくれた。
平山は本当に丁寧な人間で、僕たちが普段気にもとめないような些細な物事に対してもニコって微笑んだりする。
平山の同僚の若者はいわゆる現代っ子という感じ。YouTubeみながら仕事して夜職の女を追いかけて平山に金を借りたりするようなやつ。平山と対極的なやつで最初は「こうはなるな」みたいなことを言いたいのかと思ったけど、それでもそいつも良い奴なんだなってわかるシーンがあって憎めない。そういう人生があってもいいってことなんだろうなと思う。
毎日同じような生活の中で、ちょっとした成長だったり美しさを見逃さず、幸せを感じる人。
どんなに不安定で、振り回されても、自分の欲に忠実に生きて、何かを掴んだときに幸せを感じる人。
どっちが良いとか悪いとかでは無いだろうし、人の数だけ色んな生き方と考え方がある。
それでも僕はどんな些細なことでも取りこぼすことなく、丁寧に生きる平山の姿に惹かれた。
どんなに忙しくても、身の回りのちょっとした出来事や、風景に対して、何かを感じ取る余裕をもつ。そんな人生の綺麗さを伝えたい映画なのかなと自分なりに解釈した。
正直自分は普段特に何も考えず生きている。
一人の時間をもっと何かしら考えて過ごしていれば、普段の会話も、もっと芯を捉えて話せるんだろうし、映画を見た時も色んな感想が湧いて、言語化もできるようになるんだろうなと思う。
そしてサッカーにも同じことが言える。こじつけとかじゃない。普段からイキイキしてる人はサッカーになっても自分のイメージを持って、考えながらプレーしている感じがする。
一方で自分は大して考えず、何となくでプレーすることが多い。考えてないから自分のプレーを改善するとか、他人に意見を伝えるとかも出来ない。
結果、学生リーグとは無縁の1年を過ごした。
最初は怪我人が多く、運良くIリーグに出れていたものの、1度メンバーから外れてからは苦しい時間が続いた。
学生リーグやIリーグの裏で公立高校や社会人チームと練習試合をした。
もともとメンバーに入れなくてモヤモヤしているのに相手選手の半分が歩いてるなんて状況もあってさらにイライラした。
けど何よりも、そんな相手に対して全くいいプレーができない自分に、腹が立った。Iリーグと比べて上手いとは言えない相手なのに、それ以上に自分が下手だった。
「二度と試合に出れないんだろうな」と本気で思うようになった。それならもういっかと思い、試合に出れるかどうかとかは考えるのをやめた。ミスしても失点してもメンバー表に自分の名前がなくてもなんとも思わない。諦めることによって、傷つかないようにしていた。
それでも「俺は流星の方がいいと思う」と同期が言い続けてくれた。トレセンで会った先輩が「お前らみたいなやつが試合に出るべきだよな」と言ってくれた。
その言葉に少しづつ救われた。
何とかして試合に出たいと思い始めることができた。周りに支えられて、恵まれた環境だなと改めて思った。
おかげさまで、本当におかげさまで、怪我人続出の影響もあったけど、旧帝戦初日Aチームのスタメンとして出させて貰えた。とても嬉しかった。
結局試合では何も出来ず、3日後にはCチームにいたんだけど。その時も「流星はもっとできるだろ」って言ってくれるやつがいてまたもや励まされた。
とてもありがたいことに旧帝戦毎試合映像を見てフィードバックしてくれる先輩がいた。毎日不貞腐れる暇もなく自分のプレーについて考えることが出来た。
明確な課題がいくつも挙がり、正直1週間では全く答えは見えなかったものの、課題を意識しながらプレーするのはとても楽しかったし、上手くいった時は成長を感じられた。
ここでやっと考えることの重要性にちゃんと気づいたと思う。
旧帝戦で実際に学生リーグ組の人と試合に出て実力不足を実感し、多くの課題を認識した。
今季、旧帝戦で見つけた課題をなんとかする。そのために日常から考えることをやめない。
いつか課題が解決した時に学生リーグデビューできると信じて。
そして1年後の自分が「2026年度は自分にとってPERFECTだった」と胸を張って言えるように。
最後まで読んでくれてありがとうございます。去年よりも文章力が衰えている感じがして焦っています。勉強も頑張ります。

