北川晴将(3年/MF/守山高校)
過去編
中学時代所属していたクラブは県一で、関西大会でも悪くない成績を残していた。しかし、自分はギリギリスタメンで出れるかどうかといった立ち位置で、チームを勝たせたり試合で大活躍するなど自分が何かを成し遂げたと感じたことはほとんどなかった。
そんな中学時代を経て、高校サッカーでは今度こそ自分が中心になって全国大会に行くんだと野心を抱いて3年間自分の目標を疑うことなくやり続けた。それでも、結果は良くて県ベスト8止まりだった。最後の試合に負けた日、ずっと高校サッカーで終わりにしようと思っていたはずが、自分のサッカー人生のゴールは本当にここでいいのか、という気持ちが強く芽生えた。そんな思いから大学でも体育会でサッカーを続ける決意を固めた。
浪人期間には、京都大学サッカー部のアカウントをフォローして投稿を見ながら、来年はここに入部して1年目から試合に出てやるんだとモチベーションを高めていた。フォーメーションは3421やから俺は2シャドーの一角やなとか想像していた。しかし、結局紫のユニフォームを着ることも双青戦(東大対京大の定期戦)に出ることもなかったことはご存知の通りである。それでも北大に通うと決めた頃にはすぐにインスタ投稿でメンバー紹介を見て、静学出身の7番がいる！とか色んな期待を膨らませていた。
大学編
これまで努力してきて良かったと自分自身が満足のいくプレーがまだできていない。ここまで続けてきたサッカー人生を誇れるような結果を残せていないままでは終われない。だから、大学の4年間で最後に自分自身が納得のいくプレーと結果を残す。そう心に決め、大学サッカーをスタートさせた。入部当初背番号を選ぶ際にも、そんな自分の決意を忘れないようにと覚悟を持って10番を選んだ。
(すると、田中パイセンがその勇気を称えて入部当初サシでフレンチに連れてってくれたのは今でもいい思い出である。)
しかし、そう簡単にはいかなかった。1年目からトップチームに帯同させてもらうも、2人の同期がスタメンに選ばれて奮闘するのをベンチで見ることがほとんどだった。出たとしてもほんの少しの出場時間しかなく、札大や岩教を筆頭とした一部の高いレベルの中で思うようなプレーができなかった。さらに、出場時間を与えられたアイリーグ、新人戦ですら全く結果を残せなかった。そんな自分に不甲斐なさを感じる日々が続きあっという間に大学サッカー初めてのシーズンを終えてしまった。
それでも今年こそは、と強い気持ちで挑んだ2年目のシーズン。遠征などで結果を出してリーグ戦にスタメンで出るなど悪くないスタートを切った。試合には負けてしまっていたが、もう少し頑張ればこの舞台で活躍できるという手応えと希望を少しずつ感じつつあった。しかし、夏の新人戦予選で怪我をするとそこからは何もかもが上手くいかなかった。待てど待てど治らず、シーズン終盤になり勝ち出してきたチームを見る焦りから治り切らないままプレーを始めると、また怪我が悪化することになり再びプレーすることができなくなった。結局そのままプレーすることができないまま2年目のシーズンを終えてしまった。残留に向けてチャレンジリーグで勝利を重ねチームが祝福ムードにある中、自分が試合に絡めてないことに対する歯がゆい思いでチームの勝利を素直に喜べない自分がいて辛かったことをよく覚えている。
こうしてまだ何も成し遂げられていないまま2年が過ぎた。長いと思っていた4年間ももう折り返し、残り2年。タイムリミットが迫る。結局何も得られないまま終わってしまうのかと、できると信じていたことを疑いはじめる時期かも知れない。それでも何故か1ミリも諦めていない自分がいた。何故もう無理だと思えないのだろうか。いっそ結果に拘らなければ、自分の身の丈に合ったレベルで、頑張らずとも試合に出れるカテゴリーで、ノーストレスでサッカーを楽しむことができるのに。その答えは、自分自身に期待している自分の存在だった。たとえこれまで思うようにいかなかったとしても、周りに過小評価されても、無理だと思われていても、思えば自分だけは自分自身への期待と理想を捨てたことは今まで一度もなかった。
普段よく話している同期や自分をよく知っている人は、自分のことを自信家で強気だと思っているかも知れない。けれど、そんな自分もよく自分自身に失望するし落ち込むことがよくある。試合や紅白戦で何もできなかった日には才能がないのかもと思うことが何度もあるし、復帰して間もない最近ではスタメンに選ばれなければ、リーグ戦開幕までに調子を上げて試合に出れるかどうか不安になることもある。もっといえば、もう部活を辞めてプレッシャーから解放されて頑張ることをやめて、伸び伸び海外旅行をしたり長い帰省で地元の親友と遊び呆けたり彼女とディズニーに行ったり、、、(あれ俺そんな彼女おったっけ)とか思う時もたまにある。でもそんな時、
心の中を覗けばリトルキタガワがこう呟く。
『お前はまだまだこんなもんじゃない、もっとできる。』
TikTokを開けばメンズコーチがこう呟く。
『厳しいって。やれよ。甘いって。』
そんな言葉に自分を奮い立たせて、残り2年間悔いのないように戦い続けよう。ゴールを決めて味方と喜び合うあの瞬間のため、応援してくれているOB、親、共に頑張るチームメイトのため、そして今まで誰よりも抱き続けた自分自身の期待に応えるために。
#10 北川晴将